司馬遼太郎の小説「世に棲む日々」より
吉田松陰の最初の弟子となる金子重之助は、
松陰とは矯激な行動家であるので意気盛んな男かと思っていたが、
意外にも婦人のようにやさしく、声までが温雅でしなやかだったらしく驚いた。
金子は松陰が婦人のようである事を指摘したところ、
松陰は、「私はそのような自分であることを望み、そのように自分を教育しているのです」と語った。
「人生において大事をなさんとする者は、和気がなければなりませぬ。温然たること、婦人、好女のごとし」
これは松陰がすきな言葉であり、
婦人、好女のようにおだやかな人柄をもつことにおいて初めて気魄を養うことができる。
言葉つき丁寧にして声低からざれば、大気魄は出ずるものにあらず。と松陰は言った。
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